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1 シン「………」 ヴァイス「………」 エリオ「………」 グリフィス「………」 シグナム「男同士固まって何を、ん?これは」 アギト「俺とシグナムが初ユニゾンした時のバトルビデオじゃねーか」 シン「あ、ああ。参考になるかなーって見てたんですよ」 エリオ「や、やっぱりシグナムさんすごいですね」 ヴァイス「お、おう。射撃専門だけどこりゃ合わすの一苦労だな」 グリフィス「こ、こういう力を持っている人がいると戦略たてやすいですよね」 シグナム「そうか、勉強中だったか」 アギト「はっはっは、まぁ俺の実力を考えればこんなもんよ」 しかし、男達の思惑は別のところにあった。 シン「(いい腋だ)」 エリオ「(いい腋だ)」 ヴァイス「(いい腋だ)」 グリフィス「(いい腋だ)」 彼らの近くのテーブルには真・ソニックフォームフェイトのバトルビデオもあったという。 1.5 ティアナ「どうして私いまいち人気がのびないんだろう」 ヴァイス「とりあえずBJを臍出しするか腋みせするか、それからだ」 グリフィス「黒いニーソも捨てがたいよね」 シン「いっその事腰部のあの白いスカート部を取ったらどうだ?」 エリオ「袖があのスカート部にスリット入れたらどうでしょう」 ティアナ「シン、あんたこっち来た時に持ってた銃の使い方教えてくんない? あ、的あんたらだから」 2 なのは「皆ー、集まってー」 シン「なんですか?」 なのは「今日は、少しお話があるの。本訓練の前にちょっと皆にやってもらいたい事があるの」 フェイト「うん、ちょっと俊敏性についての事なんだけどね」 エリオ「俊敏性?」 なのは「えい」(ビシュッ) シン「のあっ(チュドーン)、な、なにするんですか…」 なのは「今の攻撃、ナンバーズだったら避けれたよ」 フェイト「そういう事で今の皆には俊敏性が足りない、という事で俊敏性を高めるテープを作ってきたんだよ、じゃ皆よく聞いててね」 ウィーン、ガチョ なのは「あーあーあー、マイク入ってる?」 美由紀「うん、入ってる入ってる。あ、教官。姉です」 なのは「えーっと、このテープの体操は体が柔らかくなったり動きがすばや(きーん)」 美由紀「なのは、なのは、ちょ、耳が痛いよ」 なのは「それでは始めたいと思います、まず両手を高く上にあげて」 美由紀「手の動きに集中するんだ」 なのは「ッス、ネスッ、ネスッ、ネスネスネス、ネセサリー!ネセサリー!」 美由紀「ネサリー!プライマリー!」 なのは「回して!回して~そ~れ~が」 二人「ネセサリー!」 なのは「我輩~はネコナリー!」 シン「ちょ、ストッ、ストップ」 スバル「何なんですかこれ?」 ティアナ「こんなんナササリーですよ」 なのは「何…私が間違ってるって言うの…?皆頭ひやそう」 キャロ「わーわーわ、ちょっと待っ」 なのは「えい」(ビシュッ) シン「うわ!………かわせた?」 フェイト「成果が出てるじゃない」 エリオ「なのはさん…」 スバル「なのはさん…」 ティアナ「なのはさん…」 なのは「さぁ、皆。もう一度やり直すよ」 全員「はいっ!!」 3 グリフィス「(カチカチ)」 シン「ディエチがまさかこっちに派遣されてくるとはなぁ」 ディエチ「短期だけどよろしくお願いします」 シン「ってグリフィスさんは何をしてるんですか?」 グリフィス「え?あ、ちょっとMADをね」 シン「職場のPCでMAD作製っすか」 グリフィス「何を、私用PCだよ。それよりも見てみるかい?」 ディエチ「これは…」 シン「なのはさんのバトル映像に…これは○ジラの音楽?」 グリフィス「怪獣特撮のBGMでやるとなにかと派手に移るだろ?○球防衛軍のマーチでやるとほら」 シン「うわぁ…なんか怪獣側にしかみえねぇ」 グリフィス「君のディスティニーから戦闘映像抽出できれば君のも作れるよ」 シン「ふ、どうで凸にやられた光景しか…ってディエチ?」 ディエチ「あわわわわわわ(ガタガタガタガタガタ)」 シン「しまった!ディエチのトラウマスイッチがONに!」 ディエチ「SLB怖いSLB怖いSLB怖い…」 シン「き、気にするな!某笑顔動画で○ドラをやっつけろのテーマで『ゴジラじゃ勝てないwwww』 なんて言われていたとしても気にするな!」 グリフィス「君も何気に酷いねぇ、まぁ僕もあの動画を見たときは吹いたけど」 なのは「誰をやっつけろって?」 シン「そりゃあ『なのはをやっつけろ』って…」 なのは「でも私怪獣ヘ○ラじゃないよね」 グリフィス「凶悪さと性能は似て…」 なのは「ちょっと頭冷やそうか」 シン「えっ、ちょ、そんな!昨日から3日連続SRBなんて…」 グリフィス「助けっ、僕は!非戦闘…」 ディエチ「あわわわわわ」 4 たまには男だけで集まって飲みたい日もある、というわけでシン達は市内の居酒屋 の一室を借り飲み会をしていた。 ヴァイス「ぷはー、美味い!暑くなってきたからさらに美味く感じるぜ」 ザフィーラ「五臓六腑に染みわたるな」 ヴァイス「でよー、早速だが…そろそろあの季節じゃねぇか?」 シン「あの季節?クールビズですか?」 グリフィス「女性職員の袖の短さとか目のやり場に困る季節がやってきましたか」 ヴァイス「まぁ、それもいいけどよ。暑くなってきたら…といえば水着だろうが!」 エリオ「水着…海ですか?」 ヴァイス「おうよ、で、なぁ。お前ら、内の部隊で一番誰がスク水が似合うと思う?」 シン「いきなりっすね」 エリオ「やっぱりキャロ―リインⅡラインは外せないでしょ」 ザフィーラ「(アルフのスク水姿…大人で楽しむか子供で楽しむか…いっそ両方か…)」 グリフィス「まぁ、鉄板ですね。ヴィータ副隊長も忘れてはいけませんよ」 ヴァイス「俺としてはフェイトさんか姐さんかな、スクール水着にあの胸が パツンパツンと…横に期待できるな」 グリフィス「スバルとティアナは…まぁ年代的に普通な感じがしますねぇ。 なのは隊長はも案外いけるかもしれませんよ」 シン「俺は………ここははやてさんを推す」 ヴァイス「何?確かにスタイルは良いが…何故に?」 シン「皆…想い浮かべてほしい、はやてさんの顔を。はやてさんはな、はやてさんはな…。 良く見てみると童顔なんじゃないかな!?」 男性陣「なんだってーーーー!!」 シン「童顔、だけど程よく育った体に胸。そしてスク水!似合うがそこはかとない エロスをかもしだすっぽいだろ」 ヴァイス「言われてみると…く、はやて隊長は盲点だった」 シン「もっといえばそう、ギャップ萌えを狙った水着でもいいんじゃないか? シグナムさんやスバルにこう…ふりっふりのついたスカートがある水着を着せるとか! あ、競泳水着は万能だから今回却下な」 グリフィス「確かに…ギャップ狙いで行くのもいいですねぇ」 エリオ「競泳水着万能説…うん、確かにそうですね」 ザフィーラ「年上キャラでも、いやだからこそ魅力を引き出せるアイテム競泳水着…か」 シン「話を戻します。でも…逆に、これはダメだ…っていう人もいますよね、スク水は」 ヴァイス「ああ、誰だ?」 シン「シャマルさんです」 (男一同押し黙る) シン「なんていうか…あの外見でスク水なんか着られると…」 ヴァイス「ああ」 グリフィス「ええ」 ザフィーラ「そうだな」 (エリオを除く)「いけない店にきている様で…」 シン「絶対、動けないですよね」 ヴァイス「ヴィヴィオあたりに『ママー』って言われてても、俺は大丈…いや、 むしろ耐えられそうにない」 グリフィス「良く年上キャラ達にババアババアいってる方々はそこまで考えて言っている んでしょうかね…」 ザフィーラ「とにかく、決めた。俺は今年はスク水と競泳水着で楽しむ」 エリオ「(ギャップ萌え…なるほどキャロ達には逆に紐ビキニが良いという事か)」 この後、男達はパレオを認めるか否かで激しく熱い討論を交わしたという -09へ戻る -11へ進む 一覧へ
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ツヴァイ 聖戦の系譜~ 終章でフリージ城を制圧するとバーハラ城から出陣する十二魔将の一人。クラスはフォーレスト。~ 銀の大剣を振り回し追撃・突撃・必殺と物騒なスキルを持っているので、~ 間接攻撃で削った上で反撃を受けないように確実に仕留めたい。~ ~ トラキア776~ 最終マップ「誓いの剣」で北の塔の結界を護る魔戦士の一人。クラスはマーシナリー。~ 流星剣・月光剣に再行動☆☆☆☆☆と明らかにガルザスそのものである。~ 故にかなりの強敵で「流星剣」の発動は確実な死を意味している。~ マスターソードにマスターアクス、炎の剣を所持していて、~ 壁や扉越しでもマスターアクスや炎の剣で攻撃してくるので気は抜けない。~ なおガルザスが加入してない場合、魔戦士にされてしまったのか顔グラが彼のものになるおまけ付。~
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リンクジョーカー(シュヴァルツシルト・ドラゴン軸) リンクジョーカー(シュヴァルツシルト・ドラゴン軸) 主なカードキーカード サポートカード トリガー構成 サンプルレシピ コメント 外部リンク 主なカード +... キーカード サポートカード トリガー構成 サンプルレシピ G ユニット 枚数 備考 0 マイクロホール・ドラコキッド 1 FV 星輝兵 ヴァイス・ゾルダート 4 星輝兵 スカウンティング・フェリス 4 星輝兵 ムーンコマンダー 4 星輝兵 ステラガレージ 4 1 虚ろの双刃 バイナリスター 4 グラヴィティボール・ドラゴン 4 障壁の星輝兵 プロメチウム 4 星輝兵 オーロライーグル 2 2 飛将の星輝兵 クリプトン 3 グラヴィティコラプス・ドラゴン 4 ガンマバースト・フェンリル 4 3 星輝兵 インフィニットゼロ・ドラゴン 4 シュヴァルツシルト・ドラゴン 4 コメント デッキの編集議論に。雑談をする場合などは共有掲示板をご利用ください。 ランタンはいる! -- 2013-07-28 01 15 58 ロックて格好よく言いてえーーー -- 2013-08-19 16 12 59 ロック逃がさん見たいな感じ…すいません -- 2013-09-18 13 47 31 トリガーは引も確かにいるけど☆を多くして超攻撃型にするのもありかと -- 2013-09-18 13 50 23 ダストテイルはあわないと思う。コストが長持ちしないよ。 -- 2013-10-19 21 59 28 ↑シルト3~4+ダストテイル1だから余裕あると思うけど。 -- 2013-10-22 09 47 42 ロックーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーて言いたい -- 2013-11-20 22 24 10 エイゼルシザーズに惨敗してきました…。 -- 2013-12-18 00 36 50 まあ、二オブ入れてもいいんじゃない、ペルソナで3体分パワー上がるから -- 2013-12-22 22 50 09 星輝兵インフィニットゼロドラゴンを連星のツインガンナーに変えるのも有りかと思います -- 2014-01-03 23 04 04 コメント すべてのコメントを見る 外部リンク カードファイト!! ヴァンガード Wiki カードファイト!! ヴァンガード 共有掲示板
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No.051ジグムント・ストラーフ No.052エフィム・ヴァロッツァ No.053ヨハン No.054クラウス No.055ミハエル No.056エルヴィン No.057テオドール No.058ヨハン・マルス No.059クラウス・シュトローム No.060ミハエル・ヴァイス No.061エルヴィン・シュバルツ No.062 No.063ドミニク No.064フリーデル No.065アルフォンス no image No.066エドガー No.067 No.068ドミニク・マルス No.069 No.070アルフォンス・ヴァイス no image no image No.071 No.072 No.073ラファエル No.074セリム No.075マクシミリアン no image no image No.076イザーク No.077ルドルフ No.078ラファエル・マルス No.079セリム・シュトローム No.080マクシミリアン・ヴァイス no image No.081イザーク・シュバルツ No.082ルドルフ・ゼーレ No.083リーゼロッテ No.084フローラ No.085パトリシア No.086ワルプルギス No.087 No.088リーゼロッテ・マルス No.089フローラ・シュトローム No.090パトリシア・ヴァイス no image No.091ワルプルギス・シュバルツ No.092 No.093さくら No.094かすみ No.095つばき no image No.096あやめ No.097 No.098 No.099 No.100天照一閃流つばき no image no image no image コメント 名前
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『むかし、むかし……」 美術史家エルンスト・ゴンブリッジが書いたように、全ての物語は「むかし、むかし」で幕を開ける。 故に、今から語られる物語もまた、「むかし、むかし」で幕を開けるのさ。 むかし、むかし、次元世界の中心地、ミッドチルダは首都クラナガンで、空に穴が開いたことがあった。 前触れもなにもなく、周囲の者が気がついた時には、虚空に黒い小さな穴が開いておった。 その穴は風やら稲妻やら巻き起こして、周囲はあっという間に混乱したそうじゃ。 そんな時、風や光とともに、穴の中からミッドチルダに飛び込んできたものがあった。 小さく、素早くて、その時にはだれも気づかんかったが、ソレは確かにやってきおった。 ソレは、一匹のフクロウだったそうな。 なんでソレがミッドチルダにやってきたのか、それは誰にも分からん。 たまたま次元断層に巻き込まれた漂流者だったのか、誰かが意図的に送り込んだもんだったのかも、全く分からん。 ただ、そのフクロウは一つのルールを持っておった。 そのルールによって、ミッドチルダは恐怖のどん底に落とされたのじゃ。 どんなルールかって? 簡単じゃよ。簡単で単純で、抗いようもないルールじゃ。 そのルールというのは―― ―――――即ち【見られると、死ぬ】 それが起こった時、事態を正確に理解した者はおそらく居なかったであろう。 突如として虚空に開いた穴、それを見物にきた野次馬の一人が唐突に――死んだ。 口から、耳から、鼻から、目から。 全身の穴から鮮血を噴き出して、虚空でもがく様にして、死んだ。 死者が噴き出した血を浴びる羽目になった周囲の者たちは、しかしパニックに陥ることもなかった。 次の瞬間には、周囲にいた全員が、等しく血を噴き上げて死んでいたからだ。 死んで、死んで、死んで、死んだ。 その時外を出歩いていた者は、人も動物も区別なく、ことごとく死に絶えた。 建物の中にいて第一の災禍から免れた者も、異常を察し、それを確認しようと外を覗きこんだ瞬間、死んだ。 車の、列車の、飛行機の、様々な乗り物を運転していた者も息絶え、制御を失ったそれらはあちこちに激突し、さらに多くの死をまき散らした。 何が起こっているのか、理解できるものなどいなかった。 理解できないことが、益々の恐慌を招いた。 人々は恐怖に耐えきれず、事態の説明を求めてわけも分からず外へと飛び出し、そして死んだ。 虚空に穴が開き、フクロウが飛び込んできてから3日後。 その街は、完全な廃墟と化していた。 道路には積み重なるように死体が倒れ、制御を失った車が突っ込んだ店舗では火災の名残り火がチロチロと空気を舐めている。 物音一つしない、死んだ街。 その中に二つだけ、生きたモノが立てる音があった。 一つは、その翼の構造から低く抑えられた、鳥の羽音。 もう一つは、何かに呼びかけるように響く、甲高いフクロウの鳴き声だった。 クラナガン一区画が、生存者一人残さずに壊滅。 そんなことになって、平和の管理者だと名乗っている時空管理局が黙っているはずもなかった。 何度も何度も調査隊を派遣して、ようやっと、その破滅の原因が、一匹のフクロウじゃということに気がついたんじゃ。 派遣された調査隊、その全員の死と引き換えにの。 数千、数万の人間が死に、街一つが枯れ果てた。 その原因がただ一匹の鳥だということを知った時の時空管理局の狼狽は、そりゃあ見るに堪えんもんじゃった。 上に下にの大騒ぎ。こんな時まで、下らん利権争いをする連中というのは絶えんもんでな。 ようやっと決まった方針は、前例の無い生物に対するSオーバー級ロストギア指定。 殲滅指定じゃった。 中には生かしたまま捕獲して、そのルールの仕組みを解析したい、ゆうもんもおったそうな。 解析して理解できたら、兵器か何かに転用する気だったのかもしれん。 だが結局、生かしてとらえるなんぞ考えんと、即座に始末するべきじゃという意見が通った。 アレが生きておっては、人はその地で生きてゆかれん、ということじゃな。 人間が手ぇ出すべき力じゃないと、それが分かったのかもしれんわ。 そうして、対策班が作られた。 何せ相手はフクロウだからの。 管理局がこれまで相手しとったのは、人間の犯罪者やら、大昔の遺産やらで、フクロウじゃあない。 しかも、フクロウはフクロウでも、街一つ殺し尽くすフクロウじゃ。 どうやって対処したらいいか、管理局はそりゃあ困った。 そして結局は、総力を上げて戦力を集中させて、一気に片を付ける、という方法を取ったわけだ。 兵隊を片端から集めての、装備やらなんやらも揃えての。 或いは、世界にはまだこんな脅威があるのだと、そう教えたかったのかもしれん。 なんにせよ、時空管理局の持っとる人間やら戦力やらが勢ぞろいしたわけじゃ。 そう、あのエースオブエースや金の閃光、夜天の主もそこにおった。 そして、対策会議じゃな。 まずは目標を確認しようと、遠隔視の魔法が、死に絶えた街にかけられた。 全員がモニターやテレパシーで、死んだ街を見た。 積み重なった死体を見た。 壊れた建物を見た。 そして、その空を飛ぶ、一匹のフクロウを見た。 ――或いは、フクロウに見られた、というべきなのかもしれんの。 それで、終わりじゃった。 見られると死ぬ。 ようやく理解されたその単純明快で絶対のルールは、ミッドチルダ全土に一瞬にして浸透した。 管理局局員の8割、およびクラナガン住民の5割の死という対価のもとに。 そのルールに例外はなく、モニター越しでも、魔法による映像投影でも、その視線にさらされた者は、ことごとく死んだ。 もはや、ミッドチルダの住人にとって、空を見上げるということは恐怖の対象でしかなかった。 なるべく外には出ず、窓からも離れて家の中で暮らす。 外を歩く時は視線を低くし、なるべく空の覗かない場所を縫うようにして走る。 そして、フクロウの時間である日没以後は、家の中でひたすら震え、朝まで恐怖に耐え続ける。 社会は麻痺し、組織は立ち行かず、クラナガンの都市機能は、完全に停滞していた。 混乱期に乗じて街を牛耳ろうとする犯罪組織、あるいは管理局の実権を握ろうとする権力者なども少なからずいたが、精力的な動きを見せるものは、その動きの過程でどこかでフクロウの目に留まり、血を吐いて死に絶えた。 そして、フクロウはそのような地上の些事など気にも留めず、ただ空中を舞い続ける。 フクロウに悪意は無かった。 フクロウに敵意は無かった。 そのフクロウはただそういうルールともって生まれたという、それだけの存在であり、あくまでも一匹のフクロウでしかなかったのだ。 そのあり様に、ジェイル・スカリエッティという名の狂科学者は狂喜にも似た憧憬を抱き、混乱状態の管理局から抜け出すと、歓喜の表情を浮かべたまま、その身をフクロウの視線にさらした。 歓喜の表情のまま血を噴き上げ、死に絶える狂科学者。 それを、同じ視線によって殺された彼の娘たちがどう感じたかは誰にも分からない。 フクロウは宙を舞う。ただひたすらに宙を舞う。 虚空を切り裂く、甲高い鳴き声。 鳥の羽音に怯え、空から目をそらす日々に、人々の疲弊が極限に達しようかという時。 動いた者たちがいた。 それは、たった4人の人間じゃった。 たった4人で、時空管理局を壊滅させたフクロウを撃ち落とそうというのじゃ。 だが、何人おってもアレの視線の前には壁にもならんのだから、いっそ丁度良かったのかもしれんがの。 一人は、クロノ・ハラオウンというての。 若いのに、提督なんぞをやっとった奴じゃ。 フクロウがやってきた時はたまたま他の次元世界で任務中での、助かったらしいわ。 もう一人はシャリオ・フィノーニ、シャーリーとか呼ばれておっての。 こっちはまあ、メカニックだの。 対フクロウ戦用の装備やらなんやらを整備しとって、モニターを見とる余裕もなかったから助かったんだと。 ん? あと二人か? あとの二人は、正にフクロウの視線が映し出されたモニターの正面におったわ。 正面にいながら、それぞれの理由で助かったんじゃ。 この4人、一人が指揮官で、一人がメカニックなら、残る二人は。 一人が狩人で、一人はまあ、そうさな、希望、といったところだな。 「……で、戦闘機の最大速度でフクロウ相手に一気に接近。 相手の軌道と直線状に重なったところで、戦闘機上から狙撃。 そのまま相手を撃ち落とす、と……」 バカだ、バカ作戦だ、と闇夜にそびえる戦闘機の機影を見上げながら、男が呟いた。 色濃いサングラスに覆われた顔は、感心と呆れのない交ぜになった表情を浮かべている。 と、そんな男に背後から近づく影があった。 「そんなにこの作戦に不安があるなら、降りてもいいんだぞ、ヴァイス陸曹」 クロノ・ハラオウンである。 若き青年提督はその身をフライトジャケットで包みながら、からかうようなな咎めるような、微妙な視線で男を見ている。 「降りる気はありませんよ、クロノ提督。 とりあえず今生き残ってる連中の中じゃ一番マシな腕を持ってるつもりですし。 それに、この役目を誰かに譲ろうって気は起きません」 「なら愚痴など漏らすな。士気が下がるだろう」 クロノの言葉に軽く返しながら、男――ヴァイス・グランセニックは肩を竦めた。 その目を隠す黒いサングラスによって視線は覗えないが、表情には苦笑の色がある。 この状況でもあくまで生真面目な自分より年下の提督の言葉が、どこかおかしかったらしい。 「はいはい、一先ずお話はそこまでにしておきましょう」 そこへ、クロノに続いて歩いてきたシャーリーが、ヴァイスに歩み寄った。 手のひら程のプレート――待機状態のストームレイダーを、ヴァイスに手渡す。 「言われた通りの改修は行いました。動作確認も入念に行ったので、誤作動の可能性は少ないはずです」 「お、サンキュー」 「……本当に、平気なんですか? 相当無茶なチューンだと思うんですけど」 手渡しながらも、シャーリーは不安そうな声を出す。 彼女がヴァイスから要請された改修は、とにかく他の機能一切をオミットしてでも、弾速を向上させる、というものだった。 結果、ストームレイダーはその弾速と貫通性ならば他の追随を許さないが、軌道操作も誘導も一切効かない、という魔法にあらざる特性を持ったデバイスと化している。 これで殺傷指定の弾を撃ち出すのだから、質量兵器のライフルとなんら変わらないだろう。 「構わねえさ。 知り合いのハンターに聞いた話じゃ、野生動物ってのはこっちの殺気に反応して、弾が来る前にその弾道から逃げちまうらしい。 こっちの狙った位置を事前に察知されるんじゃ、誘導も何も意味がないからな」 「とにかく、相手が反応する前に打ち込む、以外に処方がないわけだ」 やれやれ、とばかりにため息を吐くクロノ。 こんな無茶な作戦、本来なら彼の好むところではないのだろう。 「まあいい。 そろそろ作戦時間だ。最終ブリーフィングといこう」 「そうですね。 それじゃあ……ええと、ヴィヴィオ」 そこで、ヴァイスはクルリと振り返った。 その場に立っていた最後の一人、金髪の輝くオッドアイの少女に声をかけた。 自分に寄り添うようにして立つ少女の縋るような視線に、心が痛むのを感じながらも、口を開く。 「俺達はちょっと秘密の話があって向こう行ってるから。 シャーリーの姉ちゃんの言うこと聞いて、ちゃんと待っててくれな?」 彼女は高町ヴィヴィオ。 エースオブエース、高町なのはの娘。 モニター越しにフクロウの視線の猛威が吹き荒れた瞬間、本能的に危険を察知したなのはが身を呈して庇ったことによって生き残った、なのはの忘れ形見だった。 少女が素直にコクンと頷くのを見て、安心させるように微笑み、ヴァイスはクロノに続いて歩きだそうとする。 その背に、小さな声がかかった。 「お兄ちゃん……」 思わず、足が止まる。 お兄ちゃん。 その呼びかけは、ヴァイスにとって特別なものだった。 「ヴァイスのお兄ちゃん、帰ってくる?」 不安そうな問いかけ。 幼いながらも、自分が母を失ったことを理解しているのか。 これ以上何かを失いたくないという、それはそんな悲痛な問いかけだった。 「……大丈夫だ」 ヴァイスは答える。 例え実際の作戦の成功率がどれほどでも、ここで口ごもることは許されなかった。 「安心して、いい子にして待ってろよ」 振り返る。 そして、安心させるように、微笑んだ。 「良かったのか?」 と、そう尋ねたのは、クロノ・ハラオウンじゃったそうだ。 「何がですか?」 と、そう返したのはヴァイス・グランセニックじゃな。 男二人は、狭い戦闘機のコックピットの中におった。 その作戦では、クロノが戦闘機の操縦を、ヴァイスが狙撃を担当することになっとったからな。 「ヴィヴィオと、もっとちゃんと話しておかないで良かったのか? これが最後になる可能性だって……」 「さっき自分で『士気が下がるようなことは言うな』とか言っておいて、いきなりテンション下がること言わんで下さいよ」 無駄話、というわけではなかった。 ようするに、無理やりにでも神経を緩めとったわけだな。 二人とも、必要以上の緊張が害にしかならんゆうことを知っとったからの。 「俺がなんか言わなきゃいけない、てことはないでしょうよ。 俺に父親役なんてできませんし、ましてや高町隊長の代わりなんてのは務まりません」 「そうとも思わないがな」 クロノは、戦闘機の計器を確認しとっての。 ヴァイスは展開したストームレイダーを抱えるように持っておっての。 互いに、緊張の糸を張りつめさせとった。 「それより、すみませんね、クロノ提督。 管理局始まって以来の若き天才提督に運転手やらせるなんざ、本来は言語道断なんでしょうけど……」 「それこそ下らないことを言うな。 管理局自体が、もはやガタガタな状態なんだ。今さら階級も何もないだろう。 それに、先刻君が言った言葉、あれは僕にも当てはまる」 「は? 何のことで?」 「この役目を誰かに譲ろうという気はない、ということだ」 その言葉に、どれほどの情念が篭っとったのか、想像もできんがの。 「妻を、母を、妹を、友人を。無数の部下や同僚を。 ことごとく奪った相手との、直接決着だ。 外から見ているだけなど、だれがそれで耐えられるか」 つまりは、そういうことなのさ。 「……報いをくれてやる」 「クロノ提督、ヴァイスさん、頑張って……」 飛び立った戦闘機の機影を見つめながら、シャーリーは祈りの言葉を呟いた。 同時に、自分の無力が嫌になる。 デバイスを改修し、戦闘機を使用可能なまでに整備し――しかし、自分が関われるのはそこまでだ。 何の力もない自分では、前線に立つことが出来ない。 こうして行うべきことを終えてしまったら、まだ戦いは終わっていないというのに、既に祈ることくらいしか許されない。 こんな時なのは達なら、自分から前線に飛び出し、もっと色々なことが出来るのに。 いっそ、彼女らの代わりに自分が死んでいたら―― 「……ってダメダメっ!」 自分の思考が止め処なくネガティブな方向に沈んでいくのを自覚し、シャーリーは首を振ってそれを払った。 これでは、作戦が失敗したようではないか。縁起でもない。 クロノもヴァイスも、作戦を成功させて、無事に帰ってくる。 ならば、それを盛大に迎えてあげるのが、自分の仕事だ。 そもそも、今に限ったって、自分の仕事はこれで終わりではない。 二人から頼まれた、大事な仕事が残っている。 「さーて、ヴィヴィオちゃん。 それじゃ、お姉ちゃんと一緒に隊舎の中に……」 そうして、シャーリーが最後の仕事――ヴィヴィオを安全な建物の中に移動させようと、周囲を見回した時。 彼女はようやく、自分の周囲に、誰もいないことに気がついた。 あの綺麗なブロンドが、どこを見回しても、見当たらない。 「え? ヴィヴィオちゃん……?」 思わずポカンとして、二度三度と辺りを見回す。 闇に包まれた無人の飛行場に、シャーリー一人が取り残されていた。 飛び立った戦闘機の機内で、クロノはGに負けないよう怒鳴るように告げた。 「そろそろ上昇を始めるぞ! 相当なGが来る! 気絶するなよ!!」 「現役A級ヘリパイロットに向って何言ってんですか!!」 ヴァイスの返答を聞くと同時にハンドルを引き、機首を上げる。 急上昇。下方向へのGが、体をシートに押し付ける。 「ハッハァ! お月さんに向かって飛べぇってな!!」 後部座席で、ヴァイスが興奮したように叫んだ。 全方位へ広大な視野を誇るフクロウ、その飛行中の唯一の死角が、上である。 フクロウの頭上を獲った上で一気に急降下し、なるべく至近距離からその身を撃ち抜く。 それが、今回の作戦の全容だった。 ヴァイスの言葉通り中天に達した月めがけて一直線に飛び、十分な高度を取ったところで水平軌道に戻る。 急造されたレーダー――シャーリー謹製の、フクロウの羽音の周波数のみを拾い上げるパッシブ・ソナーによって、宙を舞うフクロウの、更に直上へ達したことを確認する。 「さて……それじゃあ、準備はいいか?」 「よっしゃ、行けるか、相棒?」 「OK.No Problem,Master」 起動状態に戻したストームレイダー――自分の唯一無二の相棒に声をかければ、力強い返事が返ってくる。 シャーリーの整備は、やはり適切かつ綿密だったらしい。 自分の体の延長のように馴染む銃身を抱えながら、ヴァイスは声を上げた。 「うっし、いつでもいいぜ! クロノ提督!」 「ならば、行くぞ!!」 クロノが、ハンドルを倒した。 機首が一気に下を向き、戦闘機が一直線に降下する。 自由落下より更に速い加速によりマイナス方向のGがかかり、体の内側が持ち上げられるような違和感がわき上がった。 「か、はっ! そろそろだな、キャノビー開けろ! ツラ見られんなよ!!」 「分かってる! そっちこそ、しくじるなよ!!」 急激に迫る地面。この数日で一気に明かりの数が減った夜景。 それを見つめながら、クロノはコックピットの一角に備え付けられたボタンを押しこんだ。 シャーリーによって設置された炸薬が点火され、破裂。 コックピットを覆うキャノビーが吹き飛び、クロノとヴァイスは夜の空気に直に曝された。 「グ……ガァ……!!」 一気に吹き荒れる風圧、叩きつけられる大気の壁に、クロノが思わず呻きを漏らす。 ――こんな風圧の中で……狙撃なんて出来るのか!? 思わず脳裏に走る疑問。 その答えを確かめようとした瞬間、後部座席から、長大なデバイスの銃身がクロノの頭上に被さった。 一瞬だけ視線を後ろに走らせれば、そこには悠然とストームレイダーを構えるヴァイスの姿。 向かい来る風も地面も一切関係ない、とばかりに不動を貫くその姿勢は、最初からこの戦闘機に備え付けられていたかのようだった。 どうやらこの陸曹は、自分が想像していたよりも遥かに優秀なスナイパーであったらしい。 その事実に心強さを感じつつ、視線を前へ。 本来の自分の仕事である操縦に専念しようと、レーダーに目を向けたその時。 「……! まずい! 気付かれたぞ、ヴァイス!!」 そのレーダーの光点に、動きがあった。 それまで周回していた軌道から大きく外れ、そのまま真上へと昇り始めている。 「こちらへ向かっている! このままじゃ……!!」 「問題ねえよ! それより、ツラ見られねえように頭下げとけ!!」 クロノの焦燥の混じった言葉を、ヴァイスの叫びが遮った。 既にクロノの言葉を聞くまでもなく、ヴァイスはこちらに向かって一気に突き進むフクロウの存在を察知している。 まだ耐えろ。 まだ撃つな――……。 「……来たっ!!」 クロノの叫びが響いた。 戦闘機の真下、既に肉眼でも確認できるほどの距離に、一羽のフクロウが現れる。 クロノは咄嗟に頭を下げ、ヴァイスは逆に悠然と体を起こした。 フクロウの視線から放たれる呪が、まるで風のようにヴァイスに向かって迸り―― 「――無駄だぁっ!!」 瞬間、ヴァイスの両目を覆っていた黒いサングラス、それが呪を受け止めたかのように砕け散った。 濃い黒ガラスの奥から見えたのは、眼球ではなく、その眼球二つを抉り抜いた、生々しい傷痕。 あの瞬間。 管理局内のモニターにフクロウの視線が映り、局員の大半が死に絶えたあの時。 ヴァイスは咄嗟の本能に従い、自分の目を抉り抜いていた。 そうすることで、他の局員たちがことごとく死に絶えた中、彼は生き残ったのだ。 咄嗟に、目を抉る、という選択肢が脳裏に浮かんだ理由。 それが彼の過去、自分の妹の左目を誤射した、あの記憶に根ざしていることは間違いなかった。 自分の腕で、妹の左目から永遠に光を奪ったという事実。 幾度も、自分の目もまた抉ってやろうかと考え続けた日々。 それにより、『目を潰す』という行為が、ヴァイスの中に色濃く残っていたのだ。 それは間違いなくヴァイスのトラウマであったが、そのトラウマ故に、ヴァイスは命を救われていた。 妹に、ラグナに救われたのだと、彼はそう思っている。 ――そのラグナも、もういない。 あの日。 管理局内にてモニターにフクロウの視線が映し出された、あの日。 同じ映像をライブ中継していたテレビによって、クラナガン全土で、死者が溢れた。 その中には、兄の仕事を心配して病院のテレビを見つめていた、一人の少女も含まれていたのだ。 「――――お、嗚呼ああぁぁぁぁっ!!」 赤熱する脳内。 それを隠すことなく、ヴァイスは吼えた。 フクロウの呪いは、視線とともに放たれて、相手の目から潜り込む。 その目が隙間なく潰されていたことにより、呪いは一瞬だけ弾け、ヴァイスの前から退いた。 無論、一瞬である。 その身がフクロウの視線の下にある限り、例えその目が潰れていようと、今度は呪いは耳から入りこむ。 盲目程度で防げるほど、そのフクロウの持つルールは甘くない。 稼げたのは、ほんの一瞬の時間に過ぎないのだ。 ――そして、ヴァイスにはその一瞬で、十分すぎるほど事足りた。 彼が行うのは呪文詠唱でも魔法発動でもない。 ただ、その引き金を引き絞るだけなのだから。 この距離ならば、如何にフクロウの回避能力を持ってしても回避など不可能だ。 シャーリーによってチューンされたストームレイダーの放つ弾速は、質量兵器のライフルのそれを凌駕する。 故に、今ここでこのフクロウは墜とされる。 ヴァイス・グランセニックの命と引き換えに。 「―――駄目ええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 瞬間、夜空に声が響き渡った。 「な!?」 「んなぁっ!?」 クロノとヴァイスの驚愕の声が重なった。 二人が声の方向に視線を向ければ、狭いコックピットのどこに隠れていたのか、そこには金髪にオッドアイの少女の姿がある。 「ヴィヴィオ!? 君は、なにを……!」 「ダメ! ダメなの! ヴァイスのお兄ちゃんは死んじゃだめ! クロノのお兄ちゃんも死んじゃだめ! もう、もう誰も死んじゃだめなの!!」 クロノの声にも答えず、ヴィヴィオは叫ぶ。 瞳に涙を浮かべ、拒絶するように頭を振りながら、それでも、強く、強く。 「もう誰も死なせないって、私が皆を守るって…… なのはママと約束したんだからあああぁぁぁぁぁっ!!!」 瞬間、戦闘機が光に包まれた。 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。虹色の極彩色の光が周囲を包み、フクロウと戦闘機との間を遮る。 「……聖王の、鎧」 クロノが、呆然と呟いた。 ベルカに古来より伝わる、聖王を守る絶対の盾、聖王の鎧。 まさか、これが…… 「……っ! そうだ、ヴァイス、奴は!」 「問題ねえ」 焦りを帯びたクロノの言葉に、ヴァイスは落ち着いた声で答えた。 ヴィヴィオの登場には驚愕した。聖王の鎧にも仰天した。 しかし、このストームレイダーを構えている時の彼はスナイパーであり、全ての感情はその事実の下に統制される。 全ての驚愕から瞬き一つの時間もかけずに復帰し、ヴァイスはそのスコープの向こうにフクロウの姿を捉えていた。 絶対の盾である聖王の鎧をもってすら、このフクロウの呪いは完全には防げない。 虹色の光の隙間から、その呪は染み出すようにしてにじり寄っている。 しかしその速度は遅く、ヴァイスの命を奪うには、あと数秒の時間が必要だったろう。 それは、今度こそ、十分過ぎる時間だった。 「これで、終わりだ」 引き絞られる、引き金。 その銃口から、超高密度に凝縮された魔力弾が音も無く放たれ、大気を、虹色の輝きを割いて直進する。 そして。 ボン、という呆気ない音とともに、フクロウの額に穴が開いた。 「終わった、か」 低空で水平飛行に移った戦闘機、その後部座席で、ヴァイスは呟いた。 その腰には、しがみつくようにして寄り添うヴィヴィオの姿がある。 さて、これは怒るべき場面なのか、とヴァイスは苦笑した。 自分の言いつけを聞かず、勝手に戦場まで紛れ込んだのは、間違いなく問題だ。 しかし、結果としてそれに助けられてしまったわけで、どうにも怒りづらい。 どうしていいか分からず、誤魔化すように、ヴァイスはヴィヴィオの髪を撫でた。 「……ちょっと待て、これは、奴が落ちてこないぞ? それどころか、今も羽ばたいて…… まさか、まだ生きているのか!?」 レーダーを覗いていたクロノが、唐突に叫んだ。 焦った動きで、キャノビーが吹き飛んだコックピットから頭上を見上げる。 「……問題ねえよ」 なんだか、この夜の間に何度も口にしている気がする台詞を吐きながら、ヴァイスもまた、上を見上げた。 潰れた目に、視界は無い。 しかし、それでもヴァイスは見えた気がした。 呆れるほどの星空と、大きな月。そして、そこを羽ばたく黒い影。 「今思い出したんだが、昔、狙撃仲間のハンターに聞いたことがあった。 野生の鳥の中には、致命傷を負ってもなお羽ばたくことを止めずに、そのまま飛び続ける奴がいるんだそうだ」 「……それじゃあ、奴は死んでいるのか?」 「ああ、間違いねえ。確実に、頭を撃ち抜いた」 そうして、後部座席から立ち上がると、そのまま後ろに体を反らす。 「何がしたかったのか知らねえが、こんだけ殺しまくったんだ。 いい加減、満足しただろうよ」 「違うよ」 ぼそりと宙に投げた言葉には、しかし否定の返事が返ってきた。 怪訝に思って視線を下せば、こちらの腰にしがみついたヴィヴィオが、その目でこちらの顔と、月を泳ぐフクロウの影を追っている。 「違うよ、ヴァイスお兄ちゃん。 あの子は、誰かを殺したかったんじゃない」 ふるふると、悲しげにその顔が振られた。 「あの子はただ、飛んでいたかっただけ。 飛んで飛んで、どこまでも飛んで。いつか、自分と一緒に飛んでくれる人を見つけたかっただけだよ」 一人ぼっちは、悲しいから。 そう呟いたヴィヴィオの脳裏には、どんな思いが渦巻いているのか。 それを想像しようとして、すぐに止めて、ヴァイスは改めて上を見上げた。 見えない目に、浮かぶ光景。 目も眩むような金の月光の中を、どこまでも泳いでいく、フクロウの影。 「……一人ぼっちは寂しい、か」 ぼそりと呟いた言葉にどんな思いが篭っていたのか、自分でも分からない。 「いいさ、飛んでいけ。 悪いが、俺達はお前とは一緒に飛べない。 だから、どこまでも、どこまでも飛んでいけ」 その言葉が宙に消えるのと同時に、空高く昇ったフクロウの影が、月の光の中に融けて消えた。 「本当に行くのか? 僕としては、出来れば残ってほしいんだがな」 「ま、仕方ないでしょう。クロノ提督には、本当迷惑かけるとは思ってますけど」 数日後、クラナガン。 時空管理局の正門前で、4人の人影が向かい合っていた。 クロノ・ハラオウン。シャリオ・フィノーニ。ヴァイス・グランセニック。高町ヴィヴィオ。 あの夜、フクロウと戦った4人である。 その後、ヴァイスが時空管理局を辞職し、ヴィヴィオを連れて何処か旅に出る、というので、その見送りに出ているのだ。 「まあ、確かにこれ以上残っていると、流石に抜け出すこともできなくなるわよねぇ」 シャーリーが、溜め息交じりに呟く。 現在、クラガナンが急激な復興ムードが漂っている。 クロノにより、脅威の原因であったフクロウの撃退宣言が為されてから数日。 はじめの内は、半信半疑で外を窺っていた人々だが、何日たっても特徴的な甲高い鳴き声が聞こえないことで、ようやく脅威が去ったことを受け入れたらしかった。 とはいえ、それで完全に事態が元通り、とはいかない。 なにせ、秩序の中枢であった時空管理局は、未だに機能停止状態なのだ。 これ幸いとばかりに火事場泥棒に手を出す犯罪組織。 時空管理局になり変って次元世界の支配権を握ろうと動き出した各組織。 ある種の抑止力となっていたフクロウが消えたことで、これらのきな臭い動きが、僅か数日のうちにあちこちで漂っていた。 ある意味でフクロウとの戦いより遥かに厄介な、誰が悪で誰が敵なのかも判然としない、ドロドロとした戦いの気配が色濃く成りだしている。 そんな中で、この二人は間違いなくキーとなり得るだろう、とクロノは冷静に思う。 片や、各地のベルカの民が待ち望む、現代に蘇った『聖王』 片や、時空管理局を壊滅させた怪物をその手で撃ち落とした『英雄』である。 彼らを象徴としてプロパガンダを行えば、民衆の心を掴むのは遥かに容易になるだろう。 しかし、だからこそ―― 「まあ、これ以上ここにいると、ヴィヴィオに見なくていいもん見せちまいそうだからな。 ヴィヴィオも、まあいつかはそういうのを知って、背負って行かなくちゃいけないんだろうが、流石に今はまだ早い。 俺も、政治の道具にされんのは嫌だしな」 ――その通りだろう、とクロノはヴァイスの言葉に頷いた。 確かに、ヴィヴィオは政争の切り札となり得る。 しかしそれは、この10にも満たない少女の肩に凄まじい重荷を背負わせることなのだ。 人造兵器として生まれ、ようやく母を得て、しかし今回、その母を失って。 これ以上、この少女に何を背負わせ、何を奪うというのか。 それならば、『聖王』も『英雄』も、最初からまとめていなかったことにした方がよほど良い。 彼らの分も、自分が血を吐き、泥を被ればいい話なのだ。 ――若くして提督などという地位について、それなりに私情と仕事を切り離して考えられるようになったつもりだったけど。 なんだかんだで、仕事よりヴィヴィオという少女を優先している自分に、苦笑が漏れる。 だが、それが悪いとは思わない。 彼女は、自分の幼い頃から友人や義妹の忘れ形見なのだ。 そんな彼女すらも仕事の道具として見るようになっては、人としての破綻だろう。 人の導き手になるのであれば、その者もまた、確かに人であらねばならないはずだ。 「まあ、その通りだな。これから先のことは、ヴィヴィオには明らかに悪影響だ。 フクロウの相手は君に任せたんだ。人間の相手は、僕に任せろ」 「……本当に、すみませんね、提督。 情けないけど、よろしく頼みます」 「しおらしいことだな。 あの夜みたいに、ため口でも構わないんだぞ?」 「勘弁してください……」 フクロウと戦った、あの夜。 途中から精神が昂りすぎたのか、ヴァイスの口調は明らかに乱暴なものになっていた。 クロノとしては大して気にも留めていないのだが、ヴァイスにとってはばつが悪いらしい。 表情をしかめて顔を逸らすヴァイスに、クロノは他意のない笑みを浮かべる。 「……それじゃ、そろそろ行きます。 あとはよろしく頼みます、クロノ提督。シャーリーも」 「クロノお兄ちゃん、シャーリーお姉ちゃん、ありがとうございました」 「ああ、任せろ」 「ヴァイスさんもヴィヴィオちゃんも、体に気をつけてね」 クルリと背を向けて、ヴァイスとヴィヴィオが歩き出す。 二人の手が自然と重なり、更にヴィヴィオが、目の見えないヴァイスを先導するように数歩前に出た。 重なるように歩きだす二人を、クロノは目を細めて見る。 「……一人ぼっちは寂しいから、か」 或いは、それは代償行為なのかもしれない。 自分を守ってくれる、母親を失った少女と。 自分が守るべき、妹を失った青年と。 互いの抱えていた欠損が似通っていたから、それをお互いの存在で埋めているだけなのかもしれない。 ――だが、それの何が悪い。 クロノはそう思う。 彼らは生きているのだ。そして、これからも生きていくのだ。 そのために互いの存在が必要ならば、寄り添うことを躊躇う理由などあるはずがない。 寄り添えるなら、やはり人は誰かと寄り添って生きていくべきなのだ。 誰だって、一人ぼっちは寂しいのだから。 「行っちゃいましたね」 角を折れて見えなくなった二人の方向を見つめたまま、シャーリーは呟いた。 「ああ、そうだな」 「また、会えますよね」 「いつかは会えるだろうさ。別に今生の別れというわけでもない」 そういって、クロノは大きく背伸びをした。 背骨が、ポキポキと音を立てる。 「さて、いい加減戻ろう。 仕事はまだまだ山積みなんだ」 「そうですね、私たちは、私たちのやるべきことをやらなきゃ」 そう言って、クロノとシャーリーが踵を返した時。 ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ 唐突に、クロノの通信素子が甲高い音をたてた。 エマージェンシー。緊急通知だ。 「……なんだ?」 クロノが、疑問符を浮かべながら通信に出る。 「ああ、僕だ……なに? 何を言って……まさか………間違いないのか?」 その応答を横から聞いていたシャーリーは、話が進むごとにクロノの表情がどんどん引き攣っていくのが分かった。 やがて通信が切られると、引き攣りすぎてなんだか半笑いになった表情で、クロノがこちらを見つめてきた。 「……あのー、クロノ提督? 一体なんの通信で……」 「……フクロウに続いて、今度は狐だそうだ」 「は?」 訳が分からず間の抜けた声を出すシャーリーに、クロノは引き攣った半笑いのまま説明する。 「ミッドチルダ郊外で、九本の尻尾を持つ巨大な白い狐が暴れていて、周囲一帯が破壊し尽くされているらしい」 「……えーと、それで」 「僕らに、応援に駆け付けろ、だそうだ」 チーン。 クロノとシャーリー、二人の間に沈黙が横たわり、乾いた風が駆け抜ける。 「…………あの二人を呼び戻せっ! 僕は装備の用意をしてくるっ!!」 「は、はいぃ!!」 バタバタと、クロノとシャーリーは駆けだしたのだった。 『むかし、むかし……」 美術史家エルンスト・ゴンブリッジが書いたように、全ての物語は「むかし、むかし」で幕を開ける。 故にこの物語もまた、「むかし、むかし」のお話なのさ。 むかし、むかし、次元世界の中心地、ミッドチルダが大混乱になったことがあっての。 何の因果か知らんが、立て続けにとんでもなく厄介なことが起きていたのさ。 見られただけで人が死ぬフクロウが現れたり、九本の尻尾が化け物に変化する巨大な狐が出たりの。 謎の病気をまき散らす人形のサーカス団が出現したり、火を吹くバネ足の怪人が町を騒がせたりの。 おとぎ話の中の登場人物が、現実で暴れだした、なんてこともあったわな。 いちばん最初の事件、いま語った、視線で人を殺す『邪眼のフクロウ』の事件で、時空管理局はもうガタガタじゃったから、そりゃあ大変なことになった。 しかしの、そんな中で、事件の中におって、事件を解決しようとドタバタしとった連中がおったんじゃ。 一人は、黒い髪の、生意気な青年将校。 一人は、眼鏡をかけた、穏やかなメカニック。 そんでもう二人が。 そうじゃな、盲目の狩人と、幼い金髪の聖王じゃ。 そう、『四英雄』なんぞと呼ばれとる、そんな連中じゃよ。 今のお話は、その4人が、初めて4人でぶつかった事件。 『四英雄』の初めての事件なのさ。 4人の、始まりの物語だよ。 さ、これで、お話はお終いだ。 ……ん? なんだ? まだ、お話を聞きたい。 ……ふふ、しかたないの。 なら『邪眼のフクロウ』の次の事件、『九尾の白面』のお話でもしてやるかの。 よく聞きなさい。 むかし、むかし………… 時空管理局 元帥 クロノ・F・ハラオウンの昔語りより
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こちらは籠われた朱鷺系列のスザクサイドのお話です。 【一日目】 話数 タイトル 作者 登場人物 原作 246 夢の終わり、戦いの始まり スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、白波 シドウ、ブランカ・白波、水波 ゲンブ、トキコ こちら 248 交差する、点と線 サト スイネ、トキコ、シギ、火波 スザク こちら 254 彼女を巡るエトセトラ スゴロク 蒼崎 啓介、火波 スザク、トキコ、蒼崎 真衣、ブランカ・白波、水波 ゲンブ、スイネ、夜波 マナ、ヴァイス、シギ こちら 264 朱雀と或る男 しらにゅい 火波 スザク、アルト、ロビン、トキコ、シギ、夏香 由衣 こちら 266 なすべきこと、できること スゴロク 蒼井 聖火波 スザク、アルト、トキコ、シギ、夏香 由衣、楠原 亜音、夜波 マナ、水波 ゲンブ、白波 シドウ、夜波 詠人 こちら 270 駆ける朱雀 サト 火波 スザク、スイネ、トキコ、ハヤト、シギ こちら 【二日目】 話数 タイトル 作者 登場人物 原作 284 彷徨える朱雀 スゴロク 火波 スザク、白波 シドウ、ブランカ・白波、水波 ゲンブ、夜波 マナ、夜波 詠人、トキコ、リオト こちら 291 朱雀が墜ちた日 スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、ヴァイス、シギ、火波 琴音 こちら 299 朱雀、闇に囚われて スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、ブランカ・白波、夜波 マナ こちら 301 梧桐の呼び声 スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、ブランカ・白波、夜波 マナ、水波 ゲンブ、白波 シドウ こちら 303 願う者、信じる者、導く者 スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、ブランカ・白波、夜波 マナ、水波 ゲンブ、白波 シドウ、火波 琴音 こちら 309 もう一度、自らの翼で スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、ブランカ・白波、夜波 マナ、白波 シドウ、火波 琴音、トキコ、スイネ こちら 312 火波姉妹、「後片付け」をする スゴロク 火波 スザク、火波 アオイ、ブランカ・白波、夜波 マナ、水波 ゲンブ、トキコ こちら 閑話―夜波マナの過去 話数 タイトル 作者 登場人物 原作 328 忌まわしき思い出 スゴロク 夜波 マナ、夜波 詠人、ヴァイス こちら 332 「私」が死んだ日 スゴロク 夜波 マナ こちら 335 私の姿、それはあの日の残像 スゴロク 夜波 マナ、ヴァイス、火波 スザク、水波 ゲンブ、ブランカ・白波、トキコ、千春、店長、夏香 由衣、夏香 奏、凪 こちら 【三日目】 話数 タイトル 作者 登場人物 原作 353 決意する朱雀、嗤う道化師、追う蒼龍 スゴロク 火波 スザク、夜波 マナ、ヴァイス、トキコ、シギ、秋山 月光、アキヒロ、欠けた一角 こちら 359 想いと願い、その向かう先 前半 後半 スゴロク 火波 スザク、ヴァイス、トキコ、夜波 マナ、シギ、火波 アオイ、欠けた一角、スイネ、貝塚真二 こちら 籠われた朱鷺系列
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※ 「うっ……ん……」 小さく声を漏らして、ティアナは身動ぎした。 朝の光が顔に当たる。心地いいが眩しくもあり、目を開けるのが億劫だった。 それ故、寝惚けたティアナの脳が最初に認識したのは触感であり、匂い。 「あ……れ……?」 疑問符を発しながら抱いているものをまさぐり、形を確かめる。 これは何だろう。ごつごつして硬い、それに温かい。鼻腔をくすぐる匂いには、どこか覚えがあった。 差し込む朝日に、徐々に寝相を維持するのが辛くなり、ティアナが目を開くと同時に飛び込んできたのは、広く大きな背中。 同衾しているヴァイス・グランセニックの背中だった。 感じていたものの正体は、両腕で抱いている硬くがっしりとした肉体の感触と、男性特有の体臭。 彼はタンクトップ一枚、どうりでハッキリ体形が分かったはずだ。 徐々に昨夜の記憶が蘇り、起き抜けのティアナの頬に紅が差す。 「ぅわっ――!」 声を上げかけて、ティアナは抱き締めていた両手を放した。 そうだ。ここはヴァイスと逃避行の末、行き着いた安ホテルの一室。 寝惚け眼を擦ると、昨夜の出来事が徐々に思い起こされる。 (そうだ。あたしが我がまま言って一緒に寝てもらったんだっけ……。うわぁ……何言ってたんだろ、あたしったら) 今思い返すと、かなり恥ずかしい。とんでもない内容を口走っていた気がする。 もちろん、一緒に寝ただけで何もなかった。ただただ二人して泥のように熟睡していただけ。 神と聖王陛下に誓って、男女のそれなどあろうはずもないのだが。 だからと言って、ヤバイことに変わりはない。同僚――いや、元同僚か――と同衾して、 ともすれば愛の告白とも取れる世迷言を囁くなんて。 スバルやアルト、ルキノ、シャーリーあたりに知れたらどうなることか。八神部隊長も危険だろう。 いや、しかし、これはいわゆる吊り橋効果と言う奴でして…… 誰も見ていないのに、あたふたと手を振って妄想を振り払う。 暫し一人ではしゃいでから不意に動きを止めると、 「そんなことある訳ないか……」 ふっと寂しげに、自嘲気味に笑った。 何を馬鹿なことを、と。 心配しなくても、どうせもう、笑い合った日々は戻ってこない。六課には二度と戻れないのだ。 自分とヴァイスの関係も、彼らの目には化け物同士が番ったようにしか映らない。 久しぶりの安眠でリラックスしたせいか、まだ幸せだった頃の感覚が戻ってきたのだろう。つい、懐かしんでしまった。 まだ二週間も経っていないというのに。 夢は見なかった。ここ最近は悪夢しか見なかったので幸運と言えた。 六課時代の、スバルやなのはとの夢なら幸せな夢だが、目覚めた時により一層現実が虚しくなるだけ。だから、これが一番いい。 時計はちょうど朝の八時を指していた。眠ったのが二十一時半だから、約十時間も寝ていたことに驚く。 昨日は、とてもよく眠れた気がする。 ベッドだったせいもあるだろうが、きっと何より、一緒にいたのがヴァイスだから。 隣のヴァイスに目を移すと、くかーっと安らかな寝顔を晒している。 「ふふっ」 その寝顔を間近で見て、思わず微笑みが零れた。 バイクのリアシートからずっと見ていた、広く大きく逞しい背中。自分の数少ない同類であり、今は頼れる存在。 それが、こうして無防備に眠りこけている。 なんだか子供みたいで可愛い。胸の奥から、何か温かい感情が湧いてくるよう。 これが母性本能という奴だろうか、それとも――。 「ま、どうでもいいか……」 彼への想いは言葉で言い表せるものではない。ティアナは眠りに就く前からの問いに対する答えを保留した。 一番じゃなくてもいい。どんな形でも傍にいてくれればそれでいい。 それ以上は何も望まないことにした。 ふと気が付くとパジャマ変わりのシャツがぐっしょり濡れていた。よほど緊張したのか、単に暑かったのか、 あれだけ抱き付いて寝ていればこうもなるか。 まだヴァイスはぐっすり寝ている。 「なら今の内に……」 朝からネガティブな方に向かう思考をリフレッシュしようと、ティアナは立ち上がった。 ヴァイスが起きる前に寝汗を流そうとバスルームに入る。 バスルームは狭い個室にトイレと洗面台とユニットバスが詰められた、些か粗末な物ではあったが、贅沢は言ってられない。 手早く服を脱ぐと、シャワーを浴びる。 熱湯が汗と一緒に眠気を洗い流していくようで気持ちいい。次はいつ入れるか分からないので、全身を念入りに洗って浴槽を出た。 裸で髪を拭いていると、ふと洗面台の鏡が目に入った。タオルを首に掛け、鏡に向き直る。 そこには、生まれたままの自分が映っていた。 濡れたオレンジの髪。 きめ細やかで滑らかな肌。小さな傷はあるものの、ほとんど分からないくらい。 体形は鍛えているだけあって引き締まってはいるが、女性的な丸みも申し分ない。 ふくよかなバストは、スバルには多少劣るかもしれないが、それなりに自信があった。 ウエストは言うまでもない。 総括すると、鏡に映る裸身は自分のよく知るティアナ・ランスターそのものだった。 しかしティアナにはそれが自分ではないように思え、触れて確かめようとしたのだろうか、恐る恐る左手を伸ばすが――。 「……ひっ!」 すぐに悲鳴を上げかけて左手を引っ込めた。 かつてのティアナ・ランスターとの絶対的な違いが鏡には映っていたのだ。 そういえば、と思い出す。 三日前の夜、ヴァイスとの劇的な再会の後、服と靴を買ってもらった。 その時、厚手の手袋も一緒に貰い、着けておけと言われた。ヴァイスもだ、バイクを降りてからもグローブを人前では絶対に外さなかった。 この時は然して疑問に思わなかったが、すべては身を守る為だったのだ。一般人なら見た瞬間、悲鳴を上げて逃げるであろう、それを隠す為に。 それは左掌に刻まれた、黒い紋章。 融合体と化した人間であることを示す、逃れられない証。 洗っても擦っても決して消えない悪魔の烙印。 入浴中も寝る時も、無意識に見ないようにしていたそれ。 改めて直視した魔法陣の紋章は、ティアナの楽観的な感情を吹き飛ばした。 衝動的に備え付けのカミソリを手に取る。 皮膚ごと削ぎ取れば、或いは――そんな考えが過ぎった。 痛みも出血のことも完全に頭になく、今はとにかく、この忌わしい紋章を消し去りたかった。 掌にカミソリを押し付け、震える手で引くと、痛みと共にじわりと血が滲む。 こんな身体でも血は赤い。血を見ると、封印していた記憶が蘇る。 危うく殺しかけたエリオのこと。 助けてくれたのに傷付けてしまったジョセフのこと。 自責の念と自分への恐怖で気が変になりそうだった。 その時である。 ドアの向こうから、ゴトッと物音がした。 「ヴァイス陸曹……?」 恐る恐る問い掛けるも、答えはない。 ヴァイスが起きたのだろうか。そうだ、きっとそうに違いない。 いや、だとしたら返事があって然るべきだ。 (まさかXATか局の追手がもう嗅ぎ当てた!? それとも……) この安宿である。治安もいいとは言えない区画だ。もしかしたら強盗でも侵入したのかも。 そもそも、この部屋の扉はオートロックだっただろうか? あり得ないと頭では理解していても、猜疑心は際限なく膨らんで、どうしようもなくなる。 普段の習慣か、手元には常にクロスミラージュがある。特に、三日前からは肌身離さず持ち歩いていた。 ティアナは考えた。 もし仮に、今この瞬間、バスルームに暴漢が乱入してきたら自分はどうするだろう。 逮捕術で取り押さえるか。 それとも、すぐさまクロスミラージュを起動させて突きつけるか。 おそらく、どれも違う。 たちまち思考は恐怖で染め上げられ、数秒後には、引き裂かれ無残な肉塊になった暴漢が転がっているのだろう。 そして狭いバスルームは血の海になっているに違いない。 そう、三日前の雨の日のように。 想像して吐き気を催すと同時に、頭に電流を流されたような激痛が走る。 「くぅっ!?」 頭が割れるように痛い。 動悸が激しくなり、喉が渇いて息が苦しい。 目まいと耳鳴りが酷くなり、しまいには視界が赤く染まってきた。 融合体に変異する兆候である。 (ああ……これはまずい……。これだけは絶対に駄目。分かってる。分かってるのに……) もう三度目だ。少しは制御できるかと思ったが、理性を失うまでの時間が長くなったに過ぎないのか。 むしろ些細な出来事を引き金に、容易くスイッチが入ってしまうようになっている。 ティアナは頭を振って苦悶した。必死に、心を静めろと自分に言い聞かせた。 ここで融合体になったら、ヴァイスの身が危ない。誰より大切な人を殺めてしまいかねない。 (なのに……自分で自分が抑えられない!!) 誰かの嘲笑う声が聞こえる。 許せない。 自制心が薄れ、次第に怒りが込み上げる。 ブラスレイター特有の被害妄想。 最初に見たブラスレイターらしき男にも、ヴァイスの話に聞いたゲルトにも確認されている。 ティアナ自身、幾度となくこれに苛まれ、抗おうとするも最後には必ず屈していた。 スバル、名も知らない一般人、エリオ、ジョセフ――その度に誰かを傷つけずにいられなかった。 「っく……またなの……? また……」 皮膚が強張り、硬化するのを感じる。徐々に胸の痛みと、全身を駆け巡る熱が強くなる。 精神だけでなく、身体の変化まで始まろうとしていた。 自我の喪失と肉体の変異。二つの苦痛に押し潰されながら、ティアナは思わずにいられなかった。 (あたしは何も悪くないのに、どうして、どうしてこんな目に……) この言葉は麻薬だ。 自己を肯定したが最後――自分は悪くない、何をやっても仕方ない、そんな身勝手で独善的な考えを抱いてしまう。 不可抗力だとしても、この身体で散々罪を重ねてきた。本心では自覚しているからこそ、何度でもこの言葉に縋らずにいられない。 そうでもしないと、心がバラバラになりそうだった。 (この笑い声を止めなきゃ、あたしはきっとおかしくなる。そうだ、必要なら殺してでも――) 内なる声、とでも言うのだろうか。自分であって自分でない声が脳裏に響く。 抵抗も空しく声はティアナと同化して、思考が塗り潰される。 赤く染まった目で鏡を見ると、そこに立っていたのは、ついさっきまでの裸の少女だけではなかった。 別の何かが、狂気と恐慌で歪んだ表情のティアナに、影の如く寄り添っていた。 燃えるように逆立って流れる朱色の髪。 髪の間から僅かに覗く捻れた双角。 髪よりも色濃い炎を宿した瞳のない目は、鋭く横に伸び、爛々と光を放っている。 青く縁取られた白いドレスと黒のロンググローブ。黒光りする突起で覆われた獣の下肢。 おぼろげに重なる像は、紛うことなき融合体。三日前のあの日、あの運命の日に鏡の中に見た自身の姿だった。 「あ……ああ……」 わななきながら頬に手を当てると、鏡の中の自分と融合体が同じ動作を取る。 自らの鏡像は全身が赤く発光しており、顔面には光の線が浮かび上がっていた。 知っている。何もかも知っている。 身体が意思に反してデモナイズしようとしている。赤い光が輝きを増した時、自分は隣にいる融合体に乗っ取られるのだ。 この姿を直視するのは二度目だった。今すぐに鏡を叩き割りたい衝動に駆られるが、 そんなことをしても無駄だと今では理解している。 最早、限界だった。 次はもう人間に戻れないだろう。そんな予感がした。 狂乱と絶望の叫びが喉を突き上げる。 それがティアナの、人間としての最後の存在証明――となるはずだった。 「おーい、入ってんのかー?」 声を上げる寸前で、背後のドアがゆっくり開く。 半ばデモナイズしかけていたティアナは、人間をはるかに超えた反射速度で振り向いた。 すると、そこには――。 ヴァイス・グランセニックが、ボサボサの頭を掻きながら立っていた。 上はタンクトップ、下はショートパンツ。つまりは寝巻のまま。 むにゃむにゃと欠伸を噛み殺しながら、目はほとんど開いていない。 どうやら、彼はまだ夢と現実を行き来しているらしい。平たく言えば寝惚けていた。 「……え?」 先ほどまでの極限状態はどこへやら。出ばなを挫かれた悲鳴は引っ込み、心中は別種の混乱に支配される。 状況の把握が追い付かないのが幸いしたのだろうか。嘲笑は耳に入らず、不吉な妄想をする余裕すらなかった。 そのうちに耳鳴りも止み、視界は鮮明に戻る。 それでもティアナは一歩も動けなかった。鮮明になった分、彼の目が自分を直視していると気付いてしまったから。 「ん~…………」 ティアナは呆気に取られ硬直、ヴァイスは変わらず目を細め対象を凝視している。 彼が現実に戻るまでには未だ数秒を要するようだ。 「あ……あう……」 まったく予想だにしなかったアクシデントに、ティアナの口が金魚のようにパクパク開閉を繰り返す。 赤みが差していた視界が正常に戻ると、顔を縦に走っていた光線も消え、代わりに顔中が真っ赤に染まった。 身体中を淡く覆っていた赤色の発光も、吸い込まれたかのように柔肌を染める。 入ってるのかと聞きつつドアを開けるとは、どういう了見なのだろう。 普通はノックの一つもするのがマナーではないのか。 などと思わないでもなかったが、思考がとっ散らかって、それどころじゃなかった。 何故なら――何故なら、今の自分は全裸であるからして。 「――きゃぁ!!」 先に状況を理解したのはティアナ。同時に、ヴァイスの両目が完全に開いた。 目が合った瞬間、ティアナは違う意味で悲鳴を上げ、胸を隠してしゃがみ込む。 「おっと、すまん」 言うが早いか、すぐに回れ右してドアを閉めるヴァイス。 いつの間にかデモナイズの進行は止まっていたにも関わらず、心臓は変わらず早鐘を打っている。 全身を覆う熱も同じ、特に顔は今まで以上に熱い気さえして、いつまでも引く気がしなかった。 何秒か待ってもヴァイスの側から声は掛からない。だが、気配はある。ドアの向こうにはいるようだ。 せめて、向こうから何か言ってくれれば気も楽なのに。 さて、何から話せばいいのか……混乱する頭で考え、ティアナが最初に発した台詞は、 「お、おはようございます……」 何とも間抜けなものだった。 「ああ、おはよう。悪いな、鍵が掛かってなかったもんだから」 「い、いえ……こちらこそ……」 「着替えは持って入ってるのか? 何なら外に出てても――」 「いえ、大丈夫です! すぐに出ますから!」 早口で捲くし立てて、一方的に会話を打ち切る。 「はぁ~……」 ティアナは裸でうずくまったまま、深々と溜息を吐いた。 奇妙な感覚だった。 つい今まで誰かが乱入してきたらなどと恐怖しておきながら、それがヴァイスだと認識した瞬間、 波が引くように恐怖が治まり、想像だにしなかった感情が湧き起こった。 その瞬間、ティアナの胸に湧き起こったのは恐怖ではなく羞恥。 自分自身、戸惑っていた。 しかも驚くべきことに、腹が立ったのはたぶん裸を見られたからではない。 いや、無論それもあるだろうが、一番の理由は、裸を見たヴァイスが何ら動揺した素振りを見せなかったことだった。 こっちは狼狽して声が震えて仕方なかったと言うのに。 そういえば、と今更ながらにティアナは考える。ドアに背を向け、裸でうずくまった格好で。 何故、自分はヴァイスに襲いかからなかったのか。ヴァイスだと認識した途端、精神が安定したのか。 考えに考え、 (そうか、もしかして――) やがて一つの結論に至る。 (あたしは、こんな壊れかけた精神状態でもヴァイス陸曹のことを……) 仲間、家族、同胞、庇護者……どんな言葉を当てはめればいいのか迷って、 (唯一の味方として、本能で認識している……?) 或いは、その点に措いてのみ制御が利いているのか。 だから攻撃衝動が起こらなかったと考えれば、一応の辻褄は合う。 それだけじゃない。彼の存在がリミッターとなっているのだ。 これまでを思い起こしてみても、それは明らか。ヴァイスは自分の精神の安定に必要不可欠となっている。 だからジョセフもヴァイスとの合流を急いだ。 「は……はは……」 気の抜けた笑いが漏れる。いつしか頬を涙が伝っていた。 様々な感情が溢れて心の整理が付かないが、最も大きな感情は安堵だった。 彼だけは傷つけずにいられる。一緒なら人間として生きていける。それが嬉しくて嬉しくて堪らなかった。 恐る恐る左手の紋章を見たが、今は何ともない。これが確かな証拠。 ヴァイスがいれば精神は安定するが、それは同時に、彼なしでは生きられないことを意味している。 ティアナは、これまで以上に彼に依存している自分を改めて自覚した。 でも、今はそれでいい。 今はただ、この幸福を噛み締めていたい。 外ではヴァイスがトイレを待っているとも知らず、ティアナは一人、嬉し泣きに浸っていた。 前へ 次へ 目次へ
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-認証、データを表示します。 エヴァンジェリン・ヴァイスハウプト 性別 女性 年齢/所属 14歳/英国魔法省秘密情報課/大和山学園外部教員/上二級術師(仮設定) 容姿 緩いウェーブのかかったブロンドヘアに碧い瞳、ゴスロリファッションの少女 性格 年齢に反してやたらと上から目線な発言をする。一方で年齢相応の感情もありそのギャップが激しい。所属部署の属性上臨機応変かつ多少の無理も厭わない行動スタイル。 能力 『術式獣・バガブー』 イギリスのウェールズ地方などに伝わる妖精の一種の名を持った術式獣。高度な自律性を持っており普段は黒いリボンをつけた白熊の子供の姿をしてエヴァンジェリンのと常に一緒にいる。戦闘時は2m半ほどまでに巨大化しその巨躯や鋭い爪と牙を使って相手を蹂躙する。またエヴァンジェリンから供給される霊力によって戦闘能力アップや部位再生を行える。とはいえ術式である以上エヴァとのパス(霊力供給)は必須でありある程度離れてしまうと動きを止めて消滅してしまう。・OVER-LOADバガブーという器に収まりきらない霊力を一気に流し込み、周囲に発散、放出させる力技。暴走した霊力はまるで炎のように周囲と敵を焼き払う。・PROPAGATIONPON!というファンシーな音とピンク色の煙と共にバガブーが無数に分裂する。サイズは戦闘前の小熊の状態で当然個々の戦闘能力は低下する。・BARRIERバガブーを中心として半球状の簡易結界を発生させる。防御のみならず相手を閉じ込める事も可能。 『絶象・偽典顕現-仮想怪異・馬句部阿度/Last Spell・Pseudepigrapha-Imaginary・Back beard 』 ウェールズの妖精、バカブーを再解釈し日本期限の仮想大怪異〝バックベアード〟へと再構築する。バガブーがバックベアードの原型であるという噂に起因する。バックベアードは表面に赤い巨大な一つ目がありまるで細胞組織のように幾重にも触手が出現しては消えるという動作を繰り返す10メートルほどの黒い球体として顕現する。その巨大な眼から超火力の呪力エネルギーを放出する事が出来るがそもそもの維持に莫大な霊力を必要とするため攻撃すれば即術式が解けてしまう。 概要 英国魔法省内部の諜報機関に所属する少女。再び『戦争』を勃発させない事を目的として様々な工作をしておりその一環として近年急速に悪化している日本国の霊的環境の調査を名目に祓魔省へと派遣された。あまり歓迎はされていない。外部教員というポジションで大和山学園に所属はしているが教鞭を振るう事はなくゲストとして少し授業に参加する程度。異常量の霊力をその身に宿しておりバガブーのバックアップをしながら同時に汎術の使用が可能。日本国内では仮設定として上二級の権限が与えられている。腕 克綺【丑】とは彼が数年前に英国で活動した時からの知り合いだが、スタンスの違いでそれほど仲は良くない。ある魔女とそれが生み出した偽神との闘いで自身の生命力をかけた術式を発動し死亡した。遺体は即座に英国大使館に引き渡されている。 追記 【英国魔法省秘密情報課】魔法省内部においても特殊な部署。国内外における呪術、黒魔法によるテロなどを未然に防ぐための工作を主に行うが非合法な方法を取る場合も多い。故に魔法省内部でも鼻つまみ者とされている。何故目立ちまくるエヴァンジェリンがこの部署に所属しているかというと彼女の出自による厄介払いなところが大きい。【古の血】エヴァンジェリンの出自に関するもの。詳細不明。
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話数 タイトル 作者 登場人物 原作 1281 白い二人とおつきさま~おだんご作るの巻~ えて子 アオギリ、コオリ、桐山貴子 こちら 1282 状況変転 スゴロク こちら 1283 ≪決着≫ Akiyakan こちら 1284 ただ、それだけ えて子 こちら 1285 【悪戯ナイトゲーム】 思兼 こちら 1286 【匿名テロリズム】 思兼 こちら 1287 【感情融解≒再燃】 思兼 こちら 1288 白い二人のおべんきょう~おばけさん探すの巻~ えて子 こちら 1289 <ショウゴと特訓の結果(仮)> サイコロ こちら 1290 運命交差点・螺 スゴロク こちら 1291 ≪another line≫※アナザー企画と異なった世界観のお話になります akiyakan こちら 1292 白い二人とおとしだま~まあるいおとしだまを探して~ えて子 こちら 1293 【流星ガーディアン】 思兼 こちら 1294 道化師、遍く スゴロク ヴァイス、冬也 こちら 1295 ほつれる因縁の糸車 スゴロク 夜波 詠人、夜波 マナ、ブランカ・白波、アズール、シュロ こちら 1296 八十神千鶴はほっとけない しらにゅい 千鶴、夜波 詠人、夜波 マナ、ブランカ・白波、アズール、シュロ、白波 アカネ こちら 1297 回帰、そして急転 スゴロク 夜波 詠人、夜波 マナ、千鶴、ヴァイス、アズール、ブランカ・白波、シュロ、ブラウ=デュンケル こちら 1298 八十神千鶴は物言うだけ しらにゅい 千鶴、ヴァイス、夜波 詠人、夜波 マナ、日出太陽 こちら 1299 集束する、可能性 スゴロク 千鶴、ヴァイス、夜波 詠人、夜波 マナ、ブラウ=デュンケル、シュロ、アズール、ブランカ・白波 こちら 1300 リターン・オブ・リッパー スゴロク 千鶴、ヴァイス、夜波 詠人、夜波 マナ、ブラウ=デュンケル、シュロ、アズール、ブランカ・白波、キリ こちら 話数 タイトル 作者 登場人物 原作 1301 【Outer Line -Twin Fist-】 akiyakan 都シスイ、AS2 こちら 1302 【解説:色違いの世界線】 akiyakan 神江裏 灰音 こちら 1303 こちら 1304 こちら 1305 こちら 1306 こちら 1307 こちら 1308 こちら 1309 こちら 1310 こちら 1311 こちら 1312 こちら 1313 こちら 1314 こちら 1315 こちら 1316 こちら 1317 こちら 1318 こちら 1319 こちら 1320 僕の大好きな、君へ スゴロク 火波 スザク こちら 1241話~1280話← 小説化一覧 →1321話~1360話
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1 シグナム「なぁヴィータ」 ヴィータ「何?」 シグナム「私とシャマル、どっちが女として魅力的だ?」 ヴィータ「ぶほっ! な、なんでまた急にそんなこと言い出すんだよ」 シグナム「こんな事があってな……」 ヴァイス「八神隊長の守護騎士団の中で、一番艶い女って誰だろうな?」 エリオ 「う~ん……やっぱりシャマルさんじゃないですか」 シン 「そうだよなぁ、作る料理はかなりアレだけど優しいしおっとりしてて落ち着くな」 ヴァイス「だよなぁ~逆にダメなのは?」 シン 「う~~ん、やっぱり、あの人?」 エリオ 「僕もあの人しか出てきません」 ヴァイス「言い辛そうだな……じゃぁせ~~ので言おう」 シン・エリオ・ヴァイス「シグナム(さん)(姐さん)!!」 ヴァイス「やっぱりなぁ~」 シン 「ですよねぇ」 エリオ 「確かに」 ヴァイス「事務仕事一切しないし」 エリオ 「教えるのはガラじゃないって教導もしませんし」 シン 「一日隊舎の中を、冬眠前のクマみたいにウロウロウロウロしてるし」 ヴァイス「あぁ言うのをニートってんだよなぁ」 エリオ 「皆怖いから言わないだけですしね」 シン 「あっ! なんか言ってて腹立ってきた」 ヴァイス「俺もなんか……こう……」 エリオ 「正しく給料泥棒の体現ですよね」 エリオ 「ヴィータ副隊長は結構面倒見いいですしね」 シン 「あっ! それわかる!!」 ヴァイス「口悪いけどいい先輩ってヤツだな」 シン 「シャマル先生は料理は下手糞ですけど、出来無いって訳じゃないですし」 ヴァイス「下手ってだけで、ちゃんと教えて貰えれば上手くなる可能性はあるな」 エリオ 「シグナムさんって出来ないどころか、やろうとすらしないですから」 シン 「なんかダメダメだよな、根本的に」 エリオ 「ですねぇ~有事の時しか役に立たないって言うか……」 ヴァイス「エリオ! 結構お前も言うねぇ~」 シグナム「って事があってだな……」 ヴィータ「そ、そうか……(間違って無いだけにコメントしずらい)」 シグナム「その場で叩きのめそうと思ったんだが、それではまた蔭で言われるだけだと思い止まった」 ヴィータ「ふっふ~ん(しかし結構高ポイントなんだな、私)」 シグナム「それでシャマルに勝つために、手っ取り早く料理する事にした」 ヴィータ「ええぇぇぇ亜qswftrghyじゅ;@p:」 2 シン「こらヴィヴィオ!! ちゃんと体を拭いてから風呂から上がれよ」 ヴィヴィオ「ん~パパ早く!!」 シン「はいはい、っとほらヴィヴィオ、ホカホカだぞ」 ヴィヴィオ「パパ~アイス食べてい~い?」 シン「ちゃんと歯を磨くんだぞ」 ヴィヴィオ「うん!!」 シン「こら! デス子!! 夕飯の前にお菓子食べるな!!」 デス子「お腹減ったんですよマスタぁ~」 シン「ヴィヴィオが真似するからダメだ! 早く棚に戻しとけ」 デス子「嫌ですよ~だ」 シン「……この食べ過ぎMS! デブになったらインパルスに機種転換するぞ」 デス子「!!!!! マスタぁ~つまみ食いしなから……それだけは嫌ですよぉぉぉぉぉ」 シン「だったらもうお菓子はしまえよ、ほら、もう泣くな。 アイス買ってあるから食べた後で出してやるよ」 デス子「えへへへ~マスターありがとう御座います!!」 シン「泣きながら抱きつくな! 鼻水出てるだろ!!」 ヴィヴィオ「私も抱っこぉー!」 シン「ぐぇっ! 二人共重いからどけって」 はやて「くっ! なんやあのほのぼの家族空間は」 なのは「私はヴィヴィオのママだから混ざっても違和感無いよね?」 フェイト「だめだよなのは、私だってヴィヴィオのママなんだから」 ティアナ「じゃあ私はシンの彼女ってことで、あっ、お二人とも別にママでいいですよ 別れたバツイチが子供に会いに来たって設定なら」 なのは「ティアナ? 訓練で頭でも打ったの? もう一回衝撃与えれば戻るかな?」 フェイト「私と接近戦でのダガーの使い方講習しようね」 はやて「まったく……二人共すぐにゴリ押しするんやから……ってヴィータ!?!?」 シン「副隊長! どうしたんです?」 ヴィータ「シン! あのなって!!」 こけっ! シン「ヴィータ副隊長! 大丈夫ですか?」 ヴィータ「だ……だい……大丈夫、こんなの……痛くねぇ」 シン「そんな、ちょっと涙目じゃないですか。 ほら、絆創膏ありますから」 ヴィータ「お、おう。 ありがと……」 シン「副隊長なんですからもうちょと落ち着いて下さいよ」 ヴィータ「うるせぇ! 痛くねぇから大丈夫だよ!!」 シン「はいはい、まったく……子供っぽいんですから」 ヴィータ「子供じゃねぇよ!」 シン「分かりましたよ、ほら消毒しますよ」 なのは「ヴィータちゃん……見た目を利用して小生意気な子供になって、あの空間に違和感無く入り込むなんて」 フェイト「お兄ちゃん属性を持つシンのツボを突いた見事な作戦だね」 はやて「……後でたっぷりお仕置きやな」 ヴィヴィオ「わんこ~」 デス子「ふかふかですよ~」 ヴィータ「…………」 ザフィーラ「ヴィータ、そんな目で見るな……」 ティアナ「飼い犬ポジション!!!!」 フェイト「見事としか言えないね」 なのは「アルフにちゃんと首輪付けといてね、フェイトちゃん」 はやて「グレアムおじさんトコの猫娘にも気を付けなあかんな」 ヴィヴィオ「パパ~、パパはけっこんしないの?」 デス子「マスターはずっと私のマスターだから結婚なんてしません!!」 なのは「その相手は私だよ! ヴィヴィオ!!」 フェイト「なのはママは厳しいから嫌だよね、ヴィヴィオ。ママには私がなってあげるよ」 はやて「あかん! それは私の役目や!!」 ティアナ「パパの彼女は私だよ、結婚はまだ考えて無いんだよヴィヴィオ」 デス子「マスターはずっとずっとずぅ~~っと私のマスターなんです!」 シン「……あの……もう遅いんでそろそろ帰っ「「「「黙ってて!!」」」」 その夜、喧嘩で部屋を占拠したまま力尽きたメンバーのせいでシンは六課の食堂のソファで眠りについた…… シン「……寒い」 酔っ払いのなのは小ネタ-04へ戻る 酔っ払いのなのは小ネタ-06へ進む 一覧へ